いい奈さんワークス

Twitterにアップした #twnovel のログです。
2022年
7/26「煮物屋さんの暖かくて優しい食卓」
休日の昼下がり、佳鳴は缶ビールを開け、豪快に喉に流し込んだ。
「あ〜、休みのお昼から飲むビール最高!」
「あ、姉ちゃんずるい。俺も!」
千隼もあとを追う様に缶ビールを出す。ふたりは乾杯して缶をぐいと傾けた。
夏真っ盛りの外では蝉が鳴き叫んでいる。夏の贅沢なひとときである。
2/26
買い物に行くと、桜フレーバーのスイーツを見掛ける様になった。
まだ気候はすっかりと冬だが、春が控えているということか。
もうすぐ本物の咲き誇る桜が見られると思うと心が踊る。
今年の花見は何を用意しようか。日本酒のグラスに花びらが落ちる小さなドラマが起こって欲しいものだ。
2/5「煮物屋さんの暖かくて優しい食卓」
「寒っむ!昨日立春だったとか嘘だろ」
表におしながきを出した千隼は、ぴゅうと吹いた風に肩を震わせた。
市場で出始めた山菜などは確かに春の気配なのだろうが、風は容赦無く「まだまだ冬だよ」と言っている様だ。
こんな日こそ、煮物屋さんでお客さまに暖まって欲しいものだ。
2021年
3/7「煮物屋さんの暖かくて優しい食卓」
そろそろ桜が芽吹き始めるころだろうか。姉弟はふっくらと膨らんだピンク色の蕾を微笑ましげに眺める。
「今年もお花見したいねぇ」
「だな。弁当どうする?」
「こういう時こそ、人さまの作った美味しいもの食べたいよねぇ」
「おう。お重予約するか」
花開くのは、まだ少し先のこと。
3/7
「くしゅんっ」
控えめなくしゃみをする。その方が可愛いと思われるだろうから。
春が近付いてきて、花粉症の私はすでにこの有り様だ。
そうだな。このくしゃみは花粉への抵抗でもある。お前なんかに翻弄されてやらないぞと。
無駄な足掻きと解っていながらも、隣の彼を意識するのだ。
2020年
9/9
重陽の節句なので、冷酒に菊の花びらをそっと散らす。かわいらしい黄色が目に優しい。
秋の気配を感じるベランダで静かにグラスを傾けると、菊の香りがふわりと漂った。こういうのを風流というのだろうか。
菊酒は長寿になると言われているらしい。健康祈願と合わせてこれで安泰を信じようか。
8/29
蝉の声も和らいで来たがまだまだ暑い。残暑ってなんだっけなどと意味もないことを考えながらクーラーの恩恵を受ける。
今でも好んで口にするのは麦茶とアイスキャンディ。夏の残り香は色濃い。
8月は夏らしく暑い日々だった。9月は少しでも秋が顔を出してくれることを願おう。
8/8「煮物屋さんの暖かくて優しい食卓」
佳鳴が素麺を茹で、千隼が具を作る。
サラダチキンを裂き水切り豆腐を砕き、ねぎを小口切りにしみょうがと大葉を千切りにする。
器に入れた素麺に具を盛り付け、冷たい豆乳を淵から注いでごまだれとラー油を垂らした。
「美味しい。さすが千隼」
「サンキュー」
美味しい休日の昼下がりである。
8/8
照り付ける太陽。溢れる汗をハンドタオルで拭いながら河原を歩く。重い荷物が暑さを助長する。
流れる水を見ていると涼しくなる気がするがまやかしだ。思い切って飛び込めば気持ち良いだろうか。
よし、帰ったら水シャワーを浴びて買ったばかりのビールを飲もう。それだけで夏に勝利だ。
2/22(猫の日)
見た目は可愛い。
態度は可愛くない。
餌をやる時だけは甘えてくる。なのでついつい与えていたらすっかりと太ってしまった。
主観的にはさらに可愛くなったと思うが、医者から減量を薦められ、運動をさせる。
それもまた可愛い。
そしてまた餌をやりすぎてしまう。ああどうしようか。
2019年
11/1
愛犬がころんと転がって腹を見せている。周りにはティッシュが散乱。よくある悪戯だ。
やれやれと空になったティッシュ箱を畳もうと持ち上げるとからりと音がする。
逆さまにしてみたら明日のお出掛けに使いたかったが見付からなかったピアスの片方が。私はほんの少しだけ感謝した。
9/26「僕たちが叶えたい極上の夢」
「武流はマーメイドドレスとか大人っぽいの似合うと思うんだよね」
「あ? 双子なんだから蛍馬が着ろ」
「武流は格好良いイメージだからね。僕は可愛い担当」
「何だそれ。そもそも絶対着ねぇし」
「店長が武流にヘルプ来て欲しいって言ってたよ。双子は需要があるって」
「絶対に嫌だ!」
9/23「異世界転移料理人は、錬金術師カピバラとスローライフを送りたい。」
「オムレツがふわふわにならんな」
カロムは愚痴る。
「思い切って強火で。で、素早く混ぜる」
浅葱に言われた通りの火力でフライパンに卵液を流し込む。
周りからふわっと固まってくる卵を手早く中心に寄せて、奥から巻き込んで。
「こうか!」
「出来た!」
ふたりは破顔しハイタッチした。
9/23「異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜」
壱が種を植えた所にサユリが魔法を掛けると、桜、向日葵、秋桜、椿と、四季の花が咲き開いた。
「こんな贅沢なお花見、サユリがいなきゃ出来なかったよ。ありがとう」
「本当じゃのう」
「感謝するが良いカピ」
ああ、一段とエールが美味しいことよ。
(c)山いい奈
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